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20070910  自分のなかに歴史を読む 阿部謹也著 ちくま文庫 600円+税

かつてヨーロッパでは、どのような生活が営まれていたか。日本人がヨーロッパの歴史を学ぶ意味はどこにあるか。研究を進める上で、どのような着想と、史料 操作や文献解読が必要だったのか。「ドイツ騎士修道会」の研究に始まり、ヨーロッパ中世の神秘的で混沌とした社会を豊かに鮮やかに描き出した著者が、学問 的来歴をたどることによって提示する「歴史学入門」。

第1章 私にとってのヨーロッパ
  上原専禄先生を訪ねた日のこと/学問にとりくむ姿勢/生きてゆくことと学問の接点/解るとはどういうことか
第2章 初めてふれた西欧文化
  修道院での生活/ヨーロッパへのあこがれ/納得いかなかったこと/ドイツ的なものと日本的なもの/たくさんの課題を背負って
第3章 未来への旅と過去への旅
  ヨーロッパが解るとはどういうことか/現在とは何か/過去にも未来にも規定される現在/ハインペルの歴史意識/学問とは自覚的に生きること/過去との絆
第4章 うれしさと絶望感の中で
  ドイツ留学/ゲーテ協会学校での生活/ドイツの列車で/古文書がよめるようになろう/私が知りたかったこと
第5章 笛吹き男との出会い
  日本人と違うこと違わないこと/モノをめぐる人間と人間の関係/ハーメルンの笛吹き男とは/ヨーロッパ中世社会にもいた差別された人びと/新しい社会史の試み
第6章 二つの宇宙
  モノを媒介とする関係と目に見えない絆で結ばれた関係/現代とは異なる世界/大宇宙と小宇宙/火と土の力/ゴミ、糞尿、水を扱う異能力者
第7章 ヨーロッパ社会の転換点
  なぜヨーロッパは日本と違った社会をつくったのか/11、2世紀のヨーロッパにおける人と人の関係の変化、キリスト教の浸透がもたらしたこと/生と死についての考え方の変化/各地に建った巨大な寺院/新しい人間関係の成立
第8章 人はなぜ人を差別するのか
  文明と文化・ことばの定義/ヨーロッパ文明の成立/高村光太郎の詩から/文明として熟していない日本/なぜ被差別民が生まれたのか/2つの宇宙の一元化
第9章 二つの昔話の世界
  メルヘンの謎/グリム童話から/中世人の夢物語/昔話の成り立ち/ジプシーの民話から/日本の被差別部落の民話から
第10章 交響曲の源にある音の世界
  感性でとらえたヨーロッパ/交響曲への違和感はどこからくるのか/中世都市固有の音の世界/ポリフォニーの形成/音楽における2つの宇宙の一元化/
あとがき